おカネを大事にしてこその会社経営 〜2012年度第2回入居者交流会レポート〜

インキュベーションセンタースタッフです。5月に入ると妙に荒れた天気になる日が多く、雨が激しい日には外の街路樹がわっさわっさと揺れることもあります。センターは鉄筋の頑丈な建物なので風雨には強く、この点では安心です。

さて、5月25日(金)、2012年度の第2回となるインキュベーションセンター入居者交流会を開催しましたので、そのレポートをお送りします。今回は「拡大版」として、通常は30分間のセミナーを60分間とし、日本政策金融公庫の奥村浩治、インキュベーション推進室コンサルタントの矢澤利弘両氏を講師として、「経営者に必要な金銭感覚」というテーマで、お話いただきました。

最初に講演を行った奥村氏は、日本政策金融公庫 東京創業支援センターにて、スタートアップ段階にある企業に対して創業支援融資を担当しています。今回の交流会では学生の参加が多かったのですが、実際に経営を手がけたことがなければ、金融機関から融資を受ける経験はあまりないもの。それを踏まえて、公庫のサービス内容の説明に加え、融資をする立場からの企業評価について、解説がありました。

奥村氏による講演

▲奥村氏による講演

続いて、インキュベーション推進室のシニアコンサルタントで、公認会計士および税理士でもある矢澤利弘氏が、経営者、資金繰り、見積書から領収書まで、税務の12カ月、金融機関との付き合い方の5つの項目に分けて説明。実際におカネをどのように扱うかを学ぶ機会のないまま、起業してしまうケースもあるだけに、得てして陥りがちな落とし穴をわかりやすく語りました。

矢澤氏による講演

▲矢澤氏による講演

これに続き、奥村、矢澤両氏の間で、「金融機関との付き合い方」に関する対談がなされました。ベンチャー企業支援の経験が豊富で監査法人勤務経験もある矢澤氏と、融資の現場で多数の企業経営者を見てきた奥村氏のやり取りには、通常の書物などではなかなか得られないエピソードなどもあり、興味深いものでした。

奥村、矢澤両氏による対談

▲奥村、矢澤両氏による対談

上にも書きましたが、今回は実際に起業している入居者やコミュニティ会員だけではなく、これから起業を検討している、あるいは起業に関心を持っている学生を広く対象として告知したこともあり、学部学生や大学院生の参加が非常に多く、会場は満杯状態になりました。

会場風景

▲会場風景。左側の通路にも人がいっぱい

続いてネットワーキングイベントが行われ、参加者同士の意見交換がなされました。約50名の参加があり、入居企業や会員企業との間のやり取りも、盛んに行われていました。

ネットワーキングイベント

▲ネットワーキングイベント

来月は、6月29日(金)に独立行政法人 産業技術総合研究所との合同イベント「早大・産総研ベンチャーフォーラム」を、小野記念講堂にて開催します(5月24日の記事をご参照ください)。入居企業の方やコミュニティ会員の方は、こちらが6月の交流会となります。ぜひご参加ください。なお、インキュベーションセンターでのイベント実施はありませんので、ご承知おきください。

ビジネスアイデア発生のメカニズム 連載講座「起業ブートキャンプで鍛えよう!」Chapter2-3

ビジネスアイデアの着想とブラッシュアップ・第3回 ビジネスアイデア発想のメカニズム

前回の連載では、ビジネスアイデアと実際の起業事例について述べました。今回は、ビジネスから少し離れて、そもそもアイデアというのはどういうメカニズムで生まれるのかを見ていきます。

脳科学者の茂木健一郎さんが、著書『脳を活かす仕事術』(PHP研究所、2008年)の中で、アイデアの発生メカニズムについて説明しています。

脳は、「意欲」や「価値判断」をつかさどる前頭葉と、「知識」や「経験」をつかさどる側頭葉とがあり、この2か所での情報のやりとりから、アイデアが発生するということです。

まず、前頭葉がアイデアを生みたいという意志、すなわち、側頭葉に「何かいいアイデアはないか?」と投げかけます。すると次に、側頭葉では「こんなのはどう?」とそれまでの「知識」「経験」から、前頭葉に求められたアイデアに近いものを提示します。

図1 前頭葉が側頭葉に働きかけ、側頭葉が案を提示する[1]

こうして出てきたアイデア候補に対して、「価値判断」をつかさどる前頭葉は、「これは求めているものと違う、こっちは近い」などと、判断を下します。すると、それに対して側頭葉はさらに「知識」「経験」からアイデア候補を出し続けます。

図2 前頭葉と側頭葉の間で試行錯誤がなされる[2]

こうしてどんどん求めているものに近いアイデア候補が出てきて、最終的に「ひらめいた!」というのがアイデア発生のメカニズムということです。

図3 ひらめきへの到達[3]

茂木さんによると、誰にでも創造性というものはあり、人間の脳は「いつ起こるかわからないひらめきをキャッチする」器官が備わっているということです。ひらめきを得るためには、考え続けて準備しておくことが必要だということです。

ここで私たちに示唆となるのが、アイデアを生み出す=ひらめく ためには、「アイデアを生み出したいという強い意志」と「常にアイデアを求めるために考え続ける」ということが必要なんだということです。

考えてみると、世の中で成功している起業家は、何かを成し遂げる強い意志と、決して諦めない強い心を持っている人が多いと思いませんか?みなさんも、僕は創造性がないから、私はアイデア不足だからと諦めず、いろいろなものに興味を持ち、たくさんの情報をインプットして、常に考え続けてみてください。

  • 【注】
  • [1] 『脳を活かす仕事術』による。
  • [2] 同上。
  • [3] 同上。

(工藤元)

本連載「起業ブートキャンプで鍛えよう!」は、起業を志し、会社をつくり、事業を自分でつくっていきたいと思う人に向けた、起業入門向けの連載講座です。早稲田大学の学生や教職員によるベンチャー企業を数多く見てきた、早稲田大学インキュベーション推進室のスタッフ(コンサルタント、事務スタッフ)が、さまざまな実例を基に解説します。読み進んでいくのに特別な知識は必要ありません。市販の参考書には載っていないノウハウを集めた、学生による起業を意識した連載です。なお、本連載における掲載内容は、各執筆担当者の個人的見解に基づくものであり、必ずしも学校法人早稲田大学の見解に基づくものではありません。

「早大・産総研ベンチャーフォーラム」開催のご案内

6月29日(金)、独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研)と早稲田大学の共同主催によるイベント「早大・産総研ベンチャーフォーラム 〜明日に羽ばたくベンチャー起業を目指して〜」を開催します。基調講演、産総研発ベンチャー企業およびインキュベーションセンター入居ベンチャー企業によるプレゼンテーションなどを、小野記念講堂にて行います。

参加ご希望の方は、専用の申し込みフォームに所定の事項を入力して送信ください。なお、インキュベーションセンター入居者およびインキュベーションコミュニティ会員の方は、インキュベーションセンター事務所までお申し出ください。


開催概要

件名 早大・産総研ベンチャーフォーラム 〜明日に羽ばたくベンチャー起業を目指して〜
主催 独立行政法人 産業技術総合研究所
早稲田大学 産学官研究推進センター
日時 2012年6月29日(金) 13:30〜17:10
(17:30から交流会)
会場 早稲田大学 小野記念講堂
お申し込み 専用Webページをご確認のうえ、お申し込みください
※入居者、会員の方は、推進室事務所までお申し出ください

実例からビジネスアイデアを捉えよう 連載講座「起業ブートキャンプで鍛えよう!」Chapter2-2

ビジネスアイデアの着想とブラッシュアップ・第2回 実例からビジネスアイデアを捉えよう

前回の連載では、起業に至るプロセスと、「ビジネスアイデアとは何か?」というところについて述べました。今回は、ビジネスアイデアと実際の起業事例について述べていきます。

皆さんは、「のりかえ便利マップ」をご存じでしょうか? 名前を初めて聞く方も多いと思いますが、東京に住んでいる方は必ず見たことがあるはずです。のりかえ便利マップとは、現在東京の地下鉄すべての駅に掲出され、多くのお客様にご好評いただいている「何両目に乗れば階段やエスカレーターに近いかひとめでわかる」ポスターです[1]

この「のりかえ便利マップ」、どのように生まれたのかといいますと、ひとりの主婦が、小さな子供を抱えて駅で困った経験...階段やエスカレータがどこにあって、出口はどこなのか? 重いベビーカーを押しながら思いついた答えがのりかえ便利マップを考え付いたきっかけでした[2]。このひとりの主婦が、「のりかえ便利マップ」を提供する、株式会社ナビットの代表を務める福井泰代さんです。福井さんには、早稲田大学インキュベーションセンターが以前行っていた、「女子学生起業家交流会」のゲストに来ていただき、「のりかえ便利マップ」のお話をしていただきました。

前回の連載で、「ビジネスアイデア」は、事業機会を捉え、社会や顧客の課題や問題を解決する方法であると定義しました。まさにこの「のりかえ便利マップ」は、社会や顧客の課題や問題を解決することで、事業機会を捉えているといえるでしょう。

もう一つ、起業事例をご紹介します。2011年12月に、25歳で史上最年少上場を達成した、村上太一さんが代表を務める、株式会社リブセンスです。

村上さんは、早稲田大学1年生在籍時に、「ベンチャー起業家養成基礎講座」という早稲田大学の授業を受講し、この授業で行われたビジネスプランコンテストで優勝し、起業しました。そのビジネスモデルは「成功報酬型アルバイト情報サイトの運営」(http://j-sen.jp/)というものでした。

村上さんは、高校生の頃に、求人情報がインターネット上でなかなか見つからないということに気付いたそうです。調べてみるとインターネット上で企業が求人広告を出すには、コストが高い上に、応募がなければ採用できず費用がムダになるというリスクがあることがわかりました。こうした求人広告を出す企業にとっての課題や問題を解決する、採用が決定した場合にのみ企業から成功報酬をもらうというビジネスモデルを考えついたのです。

株式会社リブセンスの「成功報酬型アルバイト情報サイト」も、社会や顧客の課題や問題を解決することで、事業機会を捉えている例のひとつであることが分かります。

皆さんも、身近なビジネスやサービスが、社会のどんな課題や問題を解決しているのか、ぜひ考えてみてください。思わぬヒントが隠されているかもしれません。

(清水康)

本連載「起業ブートキャンプで鍛えよう!」は、起業を志し、会社をつくり、事業を自分でつくっていきたいと思う人に向けた、起業入門向けの連載講座です。早稲田大学の学生や教職員によるベンチャー企業を数多く見てきた、早稲田大学インキュベーション推進室のスタッフ(コンサルタント、事務スタッフ)が、さまざまな実例を基に解説します。読み進んでいくのに特別な知識は必要ありません。市販の参考書には載っていないノウハウを集めた、学生による起業を意識した連載です。なお、本連載における掲載内容は、各執筆担当者の個人的見解に基づくものであり、必ずしも学校法人早稲田大学の見解に基づくものではありません。

第2回インキュベーションセンター入居者交流会【拡大版】

 早稲田大学インキュベーション推進室では、5月25日(金)に、インキュベーションセンター入居者交流会を開催いたします。

今回の交流会では、起業に関心のある学生などを主な対象としたビジネスセミナーを併催します。講師は、インキュベーション推進室コンサルタントの矢澤利弘氏(公認会計士・税理士、博士(学術))および日本政策金融公庫の奥村浩治氏が担当し、「経営者に必要な金銭感覚」というテーマで行います(テーマ名は変更になる可能性があります)。単なる一方的な講演だけではなく、積極的な参加が可能です。


開催概要

件名 インキュベーションセンター 入居者交流会
主催 早稲田大学インキュベーション推進室
日時 2012年5月25日(金)17:00〜19:00ビジネスセミナー
(18:00から交流会)
内容 講師:インキュベーション推進室 シニアコンサルタント 矢澤利弘氏
講師:日本政策金融公庫 奥村浩治氏
テーマ:「経営者に必要な金銭感覚」(変更になる可能性があります)
会場 インキュベーションセンター オープンスペース
参加対象 入居者、コミュニティ会員、ゲスト、推進室関係者 ほか
定員 30名程度

参加申込みにあたっては、事前の参加予約が必要です。お手数ですが、参加ご希望者名、ご所属(早稲田大学学生は、学部学科名、学年または研究科名と学籍番号。それ以外の方は職業および役職)、ご連絡先(電話番号および電子メールアドレス)をご記入のうえ、タイトルを「5月入居者交流会参加希望」として、インキュベーション推進室事務局まで電子メールにてご連絡ください。折り返し、推進室事務所よりご案内差し上げます。ご予約がない場合、また定員に達した場合には、原則として入場をお断りいたしますので、あらかじめご承知おきください。