インキュベーションセンター閉室(4/28〜5/6)について

早稲田大学インキュベーション推進室よりご案内します。

早稲田大学インキュベーションセンターは、早稲田大学大学暦にあわせ、4月28日(土)より5月6日(月)まで閉室となります。玄関が施錠されるほか、事務室も休業となります。お問い合わせは、4月27日(金)午後4時ごろまで、または5月7日(月)以降にお願いいたします。

なお、インキュベーションセンター個室オフィスに入居されている方は、通常どおりご利用いただけます。

ご不便をおかけしますが、ご了承のほど、お願いいたします。

株主にはどんな権利があるのか 連載講座「起業ブートキャンプで鍛えよう!」Chapter1-4

経営超入門・第4回 株主にはどんな権利があるのか

前回の連載で、株式会社をどのようにつくるのか、だいたいのイメージはつかめたと思います。しかし、そもそも出資者=株主にとって具体的なメリットがなければ、株式会社はつくれません。出資した会社が大きな利益を得ても、経営には参加させてもらえない、利益の分け前をもらえるかどうかわからない、では困りますよね。

ここでちょっと復習です。株式会社(以下、本稿では「会社」)は、だれのものでしょうか。

そう、繰り返し説明してきましたが、会社は株主のものです。このため、少なくともルール上では、株主の意向だけで会社のすべてを決めることができます。

経営超入門・第2回で説明したとおり、株主は持っている比率に応じて、株式会社(以下、本稿では「会社」)が得た利益の一部を、配当という形で受け取ることができます。これを利益配当請求権といいます。ただし、会社の利益が少ない場合、内部留保(会社が蓄積している利益)を多くしておきたい場合、会社が多額の投資をする予定の場合などは、会社は配当を出さないこともできるため、必ず受け取れるとは限りません。

また、株式は原則として第三者に譲渡することができます。つまり、株式を第三者に売却することができます。株式の価額は企業価値に応じて上下するので、会社の業績が好調なときに売却すれば、高く売ることができ、差額を受け取ることができます。ただし、株式の譲渡については、会社のルールブックである定款(前回説明しましたね)で決めることができるので、これまた必ず可能とは限りません。

なんだか「限りません」が続いてしまいましたね。しかし、株主の権利は、配当を受け取ったり売却益に期待したりするだけではありません。株式を持っていることによって、会社の経営に対して発言することができます。発言、というだけでは漠然としていますが、例えば株式の大半を所有している大株主の場合、業績不振などで経営陣が自分の意に沿わないと思えば、社長(代表取締役)をはじめ、役員(取締役)を全員クビにして、自分が選んだ取締役を就任させることもできます。“スポンサーの意向”は強力なのです。

図1 持株(議決権)比率に応じた株主の権利(目安) ※実際には、一定期間継続して株式を保有するなどの条件があるほか、取締役会非設置会社などで異なる例がある

すべての株式を持っていれば、会社経営におけるあらゆる意思決定ができます。しかしすべてとはいわなくても、表1のとおり、3分の2以上の株式(議決権)を持っていれば、社長をクビにすることはもちろん、定款を変えたり会社の事業を他社に譲渡したり、思うままにできるわけです。創業メンバーだけで3分の2以上を固めておくと経営がブレずに済むといわれることが多いのは、このためです。

逆に、3分の1を超える株式を持っていれば、特に重要な決議に対して、No! を突き付けることができます。3分の1を超える株式を押さえておくことで、不本意な役員解任などを拒否できるので、この3分の1超というラインは重要になります。

また、2分の1を超える株式を持っていると、普通決議を可決できます。これだけの株式があると、取締役を解任することができるため、意思決定を行う人を直接動かせることになります。

こう説明すると「それなら、最初から創業メンバーでずっと株を持っていればいいじゃないか」と思うかもしれません。しかし、それはなかなか難しいことです。

規模の小さい企業、特に創業間もないベンチャー企業は、資金繰りに苦労することが多いもの。銀行や金融機関に融資を持ちかけても、資産も信用もないのですから、なかなか通りません。そんな企業に対して、将来の成長を見込んで出資を行うのがベンチャーキャピタルです。株式を保有することで企業が投資しやすくするいっぽう、ある程度の期間に利益を出すことを求めることになります。

ここで多額の出資を持ちかけられると、資金繰りが難しい小規模な企業には、救世主に見えるかもしれません。でも、多くの株式をベンチャーキャピタルが持つと、それは経営権を委譲するのと事実上同じという点には、注意する必要があります。実際、多額の出資を受け入れたものの、会社が大きく成長すると、創業メンバーが出資者から解任されて追い出される、というケースは、決して珍しくはありません。

一般的な学生やサラリーマンの感覚では、「借金する」と「出資を受ける」では、後者のほうがよいイメージに映るでしょう。しかし、経営者の立場でみると、会社として借金するリスクはそれほど大きいものではありません。出資を受けるほうが、ずっと慎重に考えるべき事項なのです。

株式の保有比率は、このように非常に重要なものです。会社を経営していくなかで、資金面でチェックすべきポイントはいろいろありますが、株式比率は最重要事項です。安易な出資受け入れは禁物ということもまた、頭の中に入れておきましょう。

次回は、「取締役会」と「株主総会」について説明します。

(渡邉謙信)

本連載「起業ブートキャンプで鍛えよう!」は、起業を志し、会社をつくり、事業を自分でつくっていきたいと思う人に向けた、起業入門向けの連載講座です。早稲田大学の学生や教職員によるベンチャー企業を数多く見てきた、早稲田大学インキュベーション推進室のスタッフ(コンサルタント、事務スタッフ)が、さまざまな実例を基に解説します。読み進んでいくのに特別な知識は必要ありません。市販の参考書には載っていないノウハウを集めた、学生による起業を意識した連載です。なお、本連載における掲載内容は、各執筆担当者の個人的見解に基づくものであり、必ずしも学校法人早稲田大学の見解に基づくものではありません。

起業家同士の出会いの場、熱気むんむんでした

インキュベーションセンタースタッフです。サクラの花が散ると、暑い日が続いたり、冷たい北風が襲ったりで、どんな服装で仕事をすればよいものやら、悩みます。

さて、インキュベーションセンターのオープンスペースは、ベンチャー企業やその支援者のみなさんに対して、さまざまな形で利用いただいています(もちろん、入居者または早稲田大学関係者に限りますが)。毎月開いている入居者交流会のようにインキュベーション推進室が直接実施しているイベントはその代表的なものですが、必ずしも推進室主催のイベントばかりではありません。さる2012年4月13日(金)に開催された「co-creators gathering(こくり)第2回」(主催:早稲田大学アントレプレヌール研究会、共催:早稲田大学インキュベーション推進室、ウエルインベストメント株式会社)も、そんなイベントのひとつ。今回は、そのイベントの当日の風景を、見たままの印象をトレースするような形でお伝えします。

このイベントの対象は、学生、ベンチャー企業経営者、ベンチャー企業支援者など。ただし“学生”といっても、早稲田大学にはビジネススクールがあるので、そこに在籍している学生も多かったようで、平均年齢はやや高め。しかし、平均年齢が高いことは、第一線のビジネスパーソンとして活動していた人が多いということでもあります。このため、学部生が多いイベントとは異なり、地に足の付いた、しかし新しい事業への並々ならぬ関心を秘めた人が多数のようで、会場に入るなり、あちこちで議論を交わしています。一般企業のサラリーマンが集まっても、無難な社交辞令が続くばかりのことが多いのですが、この空気はなるほど、と思います。

今回講師を務めたのは、株式会社藤枝MYFCの小山淳社長。「FC」の文字を見てピンときた方もおいででしょうが、この企業はサッカークラブなのです。サッカークラブとベンチャー企業の接点って何だろう。スポーツ用品のスポンサーに付いているのはたいてい大企業だし、運動補助器具の開発をベンチャー企業が行う場合も製造販売は大企業が多いし。そう思った方もいるでしょう。恥ずかしながら、サッカーにあまり関心のないスタッフもそう思ったものです。ところが、講演を聴いてみると、なるほど、と思うことをいろいろ受け止めることができました。

講演を行う小山淳社長

▲講演を行う小山淳社長

小山社長は、1976年10月、サッカーの盛んな静岡県藤枝市に生まれます。中学から高校にかけて活躍しますが、早稲田大学在籍中に左足首を負傷、手術するも成功せずに選手生命を終えることになります。世界放浪の旅を経た後、ITベンチャー企業創業を経て、2009年7月に藤枝MYFCを創業。キッズスクールを基盤にして人材育成を行うとともに、裾野の広いサポーター確保による安定経営を実現、クラブチームはJFLに加盟するにいたっています。

講演内容の詳細については割愛しますが、自分の挫折を単なる乗り越えるべき、あるいは消し去るべき過去としてとらえるのではなく、そこにいたるまでの活動を糧にして、新しいビジネスへとつなげたことが印象的です。人を直接“扱う”ビジネスでは、参入障壁が高かったりキャッシュフローが維持できなかったりすることが往々にしてあるもの。そういったマイナス面をクリアできたのは、スポーツの現場、いやフィールドで実際に体を動かした経験に基づくものでしょう。

人があふれた会場風景

▲人があふれた会場風景

ひとつだけ心残りがあったのは、講演後に小山社長とお話しする機会がなかったこと。いえね、参加したみなさんが、社長の前に名刺交換するべく行列をつくっており、しかも歓談が長いこと続いていたんですよ。“関係者特権”として割り込むなんて野暮なマネはできませんからね。まあ、それほどの大盛況だったというわけです。

株式会社のつくり方 連載講座「起業ブートキャンプで鍛えよう!」Chapter1-3

経営超入門・第3回 株式会社のつくり方

「株式会社」のしくみは簡単でしたね。「株式会社」は、みんなで資金を出し合って営利事業を行い、利益が出たら、資金を出したみんな(株主)に還元されるしくみです。

それでは「株式会社」はどうやってつくるのでしょうか?

まず「会社をつくろうぜ!」と言い出した人、いいだしっぺがいます。この人が発起人ほっきにんになります。発起人は一人でも構いませんし、仲間で発起人になることもできます。なお発起人は「人」でも「法人」でもOKです。

発起人が出資をして会社設立の中心になります。発起人は株主になります。

発起人はまず、「会社の名前」「事業の目的」「会社の住所」「役員(取締役、監査役など)の構成」「発起人(株主)の構成」「資本金額」といった基本事項を決めます。そして、それら会社の基本事項を定款ていかんに記載します。

「定款」とは会社の組織や運営に関するルールブックみたいなもので、いわば会社の憲法みたいな感じですね。定款は後から変更することもできますが、お金も手間も掛かるので、この段階で会社が行う事業の基本的なことを、しっかり固めておく必要があります。

図1 定款のサンプル。株式会社の基本的なルールがここに記載される

「定款」が作成できたら、公証役場で公証人の「定款認証」を受ける必要があります。

公証とは、公式の認証のことで、「公証人」は法務大臣が任命した、国の公証業務を取り扱う公務員です。「公証役場」とは公証人が執務する事務所のことです。

さて定款の認証が無事に済めば、すぐに発起人名義の金融機関の口座に「資本金の払込み」を行います。

それから「登記」を行います。「登記」とは、法人としての権利の保護と取引の安全と円滑化を図るために、会社の重要事項を公的な台帳に登録して、広く一般に公開する制度のことです。

登記を行う登記所は、各地の「法務局」になります。法務局は登記等の民事行政を行っている国の役所です。法務局の登記申請窓口に必要書類を提出し、登記申請をして登記が完了すると晴れて会社設立になります。

ときどき、登記を勘違いして区役所や市役所に持ち込む人がいるそうですが、くれぐれもお間違えなく! 会社の登記は法務局で行ってください。

そうそう、「私は大学一年生で18歳の未成年ですが、会社をつくれますか?」という質問がよくあります。

答えはYES!です。

未成年でも株式会社の取締役になることは可能です。ただし、取締役就任時に親権者の同意が必要です。

株式会社設立の手続きの詳細については、今後の連載で説明しますね。

さてさて、次回は株式会社のオーナーである「株主」の権利ってどんなのなのかを説明したいと思います。それではまた来週!!

(渡邉健吾)

本連載「起業ブートキャンプで鍛えよう!」は、起業を志し、会社をつくり、事業を自分でつくっていきたいと思う人に向けた、起業入門向けの連載講座です。早稲田大学の学生や教職員によるベンチャー企業を数多く見てきた、早稲田大学インキュベーション推進室のスタッフ(コンサルタント、事務スタッフ)が、さまざまな実例を基に解説します。読み進んでいくのに特別な知識は必要ありません。市販の参考書には載っていないノウハウを集めた、学生による起業を意識した連載です。なお、本連載における掲載内容は、各執筆担当者の個人的見解に基づくものであり、必ずしも学校法人早稲田大学の見解に基づくものではありません。

インキュベーションセンター入居者募集のご案内

早稲田大学インキュベーション推進室よりご案内します。

インキュベーション推進室では、「早稲田大学で達成した学習成果・研究成果」を基にした起業を志す本学の教職員・学生の皆さんに対し、経営指導やオフィスの貸与などさまざまなサービス提供を行い、起業という勇気あるチャレンジを応援しています。

このたびインキュベーションセンター入居を希望される本学教職員・学生の起業家を募集します。

  • 募集期間:4月27日(金)まで(※応募書類必着)
  • 最終選考:5月11日(金)午後
  • 問合せ:インキュベーション推進室(渡邉まで)内線:78-2101 外線:03-5286-9868 電子メール:incubation@list.waseda.jp
詳細は、募集要領をご覧ください。

株式会社って何? 連載講座「起業ブートキャンプで鍛えよう!」Chapter1-2

経営超入門・第2回 「株式会社」って何?

日本で「会社」を規定している法律は「会社法」といい、ここには株式会社、合同会社、合資会社、合名会社という4種類の「会社」が記載されています。しかし、もっともなじみがあるのは「株式会社」でしょう。規模の大小を問わず「株式会社」という形が多く取られており、日本では、株式会社が他のタイプの会社の30倍近い数に上ります[1]。では「株式会社」とは、どのようなものでしょうか。

イメージしやすいように、ある事業をするに当たり、まず1億円の資金が必要としましょう。最初から1億円を自分で用意できればよいのですが、そんな大金はありません。この場合、自分が4,000万円を用意して、ほかに100万円を出してくれる人が60人いれば、総額1億円が集まります。お金を出してくれた人には、その金額に応じて会社の「株式」を提供します。事業が軌道に乗って成功を収めると、株式を持っている比率に応じて、利益の一部を配当という形で還元します。このほかにも、株式を持っている比率しだいで経営に発言することも可能になりますが、それは今後の回で説明します。株式会社のシステムは、おおむねこのようなものです。

株式会社の特質はいくつかありますが、その基本にあるのは、出資者が「株式」を所有するという形態を通じて、会社を保有するという点です。すなわち、株式会社は株式所有者(これを「株主」といいます)のものなのです。しばしば「会社はだれのものか」といった問いがなされることがありますが、この答えは「株主」となります(「会社はだれのためのものか」となると、さまざまな答えがあるでしょうが)。

図1 株主と株式会社。出資した分に応じて株式を所有することで、株式会社は成り立つ

株式会社という形態の特徴のひとつは、出資者は有限責任を負うということです。こういうと堅苦しいのですが、出資者が会社の債務(借金など)に対して責任を負う範囲は、自分が出資した金額までで済むというものです。会社が大赤字になっても、自分の財産を整理して株式会社の債務返済に充当する必要はないわけです。

ある会社の株を買ったものの、その会社が経営破綻して破産手続きに入ってしまったとしましょう。こうなると、手持ちの株式が紙クズ同然となることは覚悟する必要があります。しかし、会社が膨大な借金を抱えていても、債権者が株主のところに「会社のかわりに金返せ」と押し寄せてくる心配はありません(もし要求があっても、応じる必要はありません)。

株式会社形態のもうひとつの特徴は、所有と経営の分離を保証している点です。これまたなじみのないことばかもしれませんが、株主と経営を分け、後者に大きな裁量を与えて自律的な事業活動に専念させ、株主はそれに対するチェックを行い発言するという、役割分担を明確化するということが可能になります。決済ひとつ取るのに株主の意思をいちいち確認していては、時間がかかりビジネスチャンスを逃すことになりますね。そういった権限は経営者に任せてしまう、というわけです。なお、所有と経営の分離は必ずしも必須のものではなく、例えば経営者が自分ですべての株式を所有することもできます。このあたりは、それぞれの会社が自由にスタイルを決めることができます。

図2 株主と経営者は役割分担ができる

株式会社というシステムは実によくできたもので、株式会社なくして近代資本主義はなかったといってよいでしょう。世界最初の株式会社といわれているのは、17〜18世紀に世界を股に掛けて活動していたオランダ東インド会社です。複数人の拠出金で会社をつくり事業を行うことで、リスクの軽減と経営の効率化を実現したものでした。実際には国王による特許状に基づく会社で、株主の権利なども現在の会社とは大きく異なっていましたが、大規模な事業は富裕な財産をもつ大商人が行うのが当然だった当時としては、画期的なものだったのです。

もちろん、事業を行うにあたって、株式会社が唯一の方法というわけではありません。法人を設立せずに個人事業主として事業を行うこともできますし、法人化する場合でも、合同会社、一般社団法人、特定非営利活動法人(NPO法人)などを設立するやり方もあります。しかし、資金調達や意思決定などを考えると、規模の大小を問わず、株式会社で事業を展開するのが第一選択といってよいでしょう。

さて、そんな「株式会社」は、どうやってつくるのでしょうか。具体的な手順はさておき、概略については知っておくほうがよいでしょう。次回は、会社のつくり方についてご説明します。

  • 【注】
  • [1] 具体的な数値は公表されていませんが、法務省司法法制部民事統計課に電話で問い合わせた際の回答結果があります。吉井溥「合同会社制度の利用状況」http://blog.kanto-gakuen.ac.jp/news/2009/10/post-3ae5.html(2012年4月10日確認)。

(渡邉謙信)

本連載「起業ブートキャンプで鍛えよう!」は、起業を志し、会社をつくり、事業を自分でつくっていきたいと思う人に向けた、起業入門向けの連載講座です。早稲田大学の学生や教職員によるベンチャー企業を数多く見てきた、早稲田大学インキュベーション推進室のスタッフ(コンサルタント、事務スタッフ)が、さまざまな実例を基に解説します。読み進んでいくのに特別な知識は必要ありません。市販の参考書には載っていないノウハウを集めた、学生による起業を意識した連載です。なお、本連載における掲載内容は、各執筆担当者の個人的見解に基づくものであり、必ずしも学校法人早稲田大学の見解に基づくものではありません。

経営者にとって必要なものとは 〜2011年度第11回入居者交流会レポート〜

インキュベーションセンタースタッフです。インキュベーションセンター室内から見える神田川の桜がほころび始め、いよいよ春本番到来といったところです。もっとも、3日(火)から4日(水)にかけては台風顔負けの強烈な低気圧が通過し、各地で混乱と被害を招きましたが。

さて、さる3月30日(金)、2011年度の最終となるインキュベーションセンター入居者交流会を開催しましたので、そのレポートをお送りします。今回のセミナーでは「企業の経営者として必要なことは何か。“社長たるものかくあるべし”」というテーマで、インキュベーション推進室長である鵜飼信一(商学学術院教授)が講師を担当いたしました。

鵜飼室長は、研究者(教員)としては中小企業論を専攻。かつての自宅が鍍金工場にあり、毎朝バフ研磨の音で目を覚ましたという経歴の持ち主で、現在ではものづくりの現場をていねいに観察しています。2010年11月にインキュベーション推進室長に着任、早稲田大学の学生および研究者によるベンチャー支援を統括しています。

講演では、各地の中小工場や作業現場にて自分で撮影した写真を交えながら、ものづくりの状況を説明しつつ、中小企業の抱える課題と新たな取り組み、そして経営者に求められる姿勢などについて説明を行いました。中小企業の経営者が自ら先頭に立って働いている、手の形が変わるなど“指が道具になる”まで修行を積んでいる、などの実例は、中小製造業の実態に触れる機会の少ない学生に、少なからぬ驚きを与えていました。

これを踏まえて「家族経営のような中小企業の工場でものをつくるときには、道具を身体の一部として自然に使いこなしている。IT系ベンチャーの場合も、PCのキーボードを身体の一部として使いこなすわけで、“つくる”という点では通じるものがある」「どんな仕事でも、それを天職として正面を向いて取り組んではじめて、生業となる。自分に向いているかどうかを探っているままでは、いつまで経っても身につかない。マックス・ヴェーバーが『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』のなかで《Beruf》や《calling》という概念で説明したことでもある」と説き、新しい事業に取り組む若手起業家や起業を目指す学生に対して、エールを送っていました。

鵜飼室長による講演

▲鵜飼室長による講演

続いてネットワーキングイベントが行われ、参加者同士の意見交換がなされ、約35名の参加がありました。前回に引き続いて学生の参加が多く、入居企業や会員企業との間のやり取りも、盛んに行われていました。

ネットワーキングイベント

▲ネットワーキングイベント

いよいよ2012年度に入りましたが、今年度も引き続き、入居者を対象とした交流会を実施します。次回は、4月27日(金)に開催する予定です。詳細が決まりしだい、あらためてご案内します。

連載講座「起業ブートキャンプで鍛えよう!」スタート!

本連載「起業ブートキャンプで鍛えよう!」は、起業を志し、会社をつくり、事業を自分でつくっていきたいと思う人に向けた、起業入門向けの連載講座です。早稲田大学の学生や教職員によるベンチャー企業を数多く見てきた、早稲田大学インキュベーション推進室のスタッフ(コンサルタント、事務スタッフ)が、さまざまな実例を基に解説します。読み進むにあたって特別な知識は必要ありません。市販の参考書には載っていない、学生による起業を意識した連載です。なお、本連載における掲載内容は、各執筆担当者の個人的見解に基づくものであり、必ずしも学校法人早稲田大学の見解に基づくものではありません。

経営超入門・第1回 「会社」って何?

ビジネスをするに当たり、大企業であれベンチャー企業であれ、「法人」を設立して「会社」を運営することになります。では「法人」や「会社」とは、何でしょうか。

「法人」とは本質的には人ではありませんが、法律上で人として取り扱うと認めたものです。一般的に、法人として活動するには法務局にて「登記」(登記簿に記載)する必要があります(詳しくは、今後の連載で説明します)。

「会社」とは何かというと、多くの人がイメージするのは就職する「労働の場」でありますが、実際は「会社」とは、経済活動で利益を得ることを目的に、人が共同して事業を行う法人のことです。

図1 法人と会社。法人にはさまざまな種類のものがあり、会社はその一部を成す

日本語の「会社」という言葉は明治時代、イギリスの「カンパニー(company)」を訳したものであります。company の語源はラテン語のcum(共に)とpanis(パンを食べる)であるといわれています。つまり共同で起業するため、同じ釜の飯を食う同志的団体を表す用語から転じたのが「会社」になったようです。

ちなみにドイツでは会社を「ゲゼルシャフト(Gesellschaft)」、フランスでは「ソシエテ(societe ※eには2つともアクサンが付きます)」といい、いずれも「人の同士的結合(団体)」を表します。

皆さんご存じの幕末のヒーロー坂本竜馬が設立した「亀山社中(のちの海援隊)」は、慶応2(1866)年に討幕のため大量の小銃や蒸気船を外国から購入し、長州藩に売りましたが、これも「会社」であります。竜馬が名付けた「社中」にも仲間・結社の意味があります。

図2 現在の「会社」のスタイルは、大航海時代における“冒険商人”の活躍にさかのぼる

「会社」のなかで最もなじみ深いのは「株式会社」ですね。次回は「株式会社」について説明します。

(渡邉健吾)